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読みやすい日本語を書くために―卒論のチェックポイント

【インドネシア語専攻で勉強する人のために】

毎年、年末になると学生のみなさんの卒論原稿をチェックする時期がきます。原稿の中には、論文の構成も明快だし、データもきちんと処理できているのに、読んでいて文意が伝わらないということがよくあります。

その理由は、多くの場合、日本語の書き方に問題があるためです。卒論での望ましい日本語とは、読み手を感動させる日本語ではなく、自分が伝えたいことが、誤解なく正しく読み手に伝わる日本語のことです。

ここでは、多くの論文に共通して見られる日本語の問題点について指摘しておきます。原稿が一通り完成したら、最初から最後まで読み直して、ここで挙げられている問題がないかチェックを行ってください。

書き始めのときは問題がなくても、何度も書き直しているうちに、文意が伝わらない日本語になっている場合があります。必ず提出前に全体を読み直しましょう。

以下の例文では、典型的な誤りと訂正した例を挙げています。例文は短いので、誤りにはすぐ気づけると思いますが、長い文になってくると、気づかない場合があります。文の構造に注意を払いながら読み直してください。

1. 主部と述部の照応ができていない。

  • オランダ植民地政庁によってイスラーム勢力を抑制した。
    ⇒オランダ植民地政庁がイスラーム勢力を抑制した。(能動態で照応)
    ⇒オランダ植民地政庁によってイスラーム勢力が抑制された。(受動態で照応)

2. 読点(、)のあるべきところに読点がない。
論文の場合、とくに、「条件を示す文」および「逆接の文」の区切りに読点を付けることで、読みやすさが大きく向上します。

  • 1998年にスハルト政権が崩壊すると華人に対する政策が大きく変わった。
    ⇒1998年にスハルト政権が崩壊すると、華人に対する政策が大きく変わった。(条件)
  • インドネシアは1945年に独立を遂げたが華人の地位についての明確な取り決めはまだなかった。
    ⇒インドネシアは1945年に独立を遂げたが、華人の地位についての明確な取り決めはまだなかった。(逆接)

このほかの読点の用法についてはことば研究館の説明が分かりやすいです。また、アイデムの説明もビジネス向きで有用です。

3. 語順が不適切である。
修飾関係にある語が離れすぎないよう注意してください。

  • この儀式は残念なことに神聖であるという理由から写真撮影が認められなった。
    ⇒この儀式は神聖であるという理由から残念なことに写真撮影が認められなかった。(「残念なことに...認められなった」の距離に注意)

          

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